2018年8月30日
No. 7

NOTE

サフィレラ型カイアシ類の形態的特徴

サフィレラ型カイアシ類は、Clausiidae科に属するカイアシ類のうち、Hemicyclops属、Leptinogaster属、Conchylirus属、Taeniacathus属、Philoblenna属の各第1コペポディット期(C1期)で報告されている(参考記事「サフィレラ型カイアシ類、Hemicyclops属カイアシ類の採集と飼育」)。サフィレラ型カイアシ類の形態的特徴は伊東(2001)によって以下のようにまとめられている(Fig. 1)。

  • ・前体部が2節、後体部が3節(Fig. 1 A)
  • ・後体部第1節の後端に第3胸脚原基の刺毛と棘が1本ずつ(Fig. 1 B)
  • ・顎脚は4節、第3節に1本の長い刺毛、第4節に先端が4本にわかれた刺毛(Fig. 1 C)
サフィレラ型カイアシ類の形態
Fig. 1 サフィレラ型カイアシ類の形態

サフィレラ型カイアシ類の特徴といえば、一般的な種と違って頭部が三角形だということである。とくに、Hemicyclops japonicusの場合、鋭角な三角形になっており、他のサフィレラ型カイアシ類の種と比べて大きく形態が異なる(Fig. 2)。したがって、H. japonicusは、外形から同定が可能である。

H. japonicusとH.gomsoensisの形態の違い. H. japonicusはごうぎしげる様より許可を得て転載 (https://pic.twitter.com/CHxRpfOYEC).
Fig. 2 H. japonicusH.gomsoensisの形態の違い. H. japonicusはごうぎしげる様より許可を得て転載 (https://pic.twitter.com/CHxRpfOYEC).

サフィレラ型カイアシ類はClausiidae科の数属で見られる特徴的な形態の種で、水柱に浮遊するC1期のみである(参考記事「分類混乱を引き起こした「サフィレラ型カイアシ類」」)。カイアシ類の同定に慣れてくると、一目で分かってしまうほどの特徴さと言える。

文   献

伊東 宏 (2001) 東京湾および多摩川感潮域のサフィレラ型カイアシ類. 月刊海洋 26: 181-188.

Itoh H, Nishida S (1995) Copepodid Stages of Hemicyclops japonicus Itoh and Nishida (Poecilostomatoida: Clausidiidae) Reared in the Laboratory. J. Crustacean Biol. 15: 134-155.